BTOのPCを選ぶ人もいれば、自作PCを選ぶ人もいます。それぞれのメリット、デメリットを把握することで、どちらが自分に向いているか参考になれば幸いです。
BTOのメリット
とっても楽ちん
パッケージ化されたPCを選んで注文するだけなのは、本当に便利です。また、BTOショップでは話題作の推奨モデルなどもラインナップされているので、それを選べるのも安心・簡単です。
特に吟味しなくても、それなりに安い
自作PCでは、電源やケースといった、技術革新がそれほど早くない商品のセール品や型落ち品を組み合わせることで安く作ることができます。また、特に性能を重視していないパーツは安いものを選んだりもします。しかし、これは情報をこまめにチェックする手間や、自分に必要ない機能を見極めるだけの経験が必要になります。
その点、BTOであればショップ側が上記の点を代わりに行ってくれるので、そこそこ安い値段でゲーム向けのPCを提供してくれます。
トラブルの際、サポートが存在する
PCのトラブルは原因の特定が最も大変です。一言にゲームがカクカクするといっても、原因はグラフィックボード、メモリ、CPU、電源、マザー、ストレージと多岐にわたります。
自作PCにもパーツごとの保証はありますが、どこに原因があるのかを自分で特定できなければ、保証を受けることもままなりません。また、例えばメモリが怪しいとまでは推測出来ても、特定するには代わりに刺してみる正常なメモリが必要になったりと予備パーツの必要性も出てくるので、初心者には厳しいものがあります。
BTOならサポートの指示に従った操作を試した結果、ハードウェアの問題とだけ特定できれば、後は丸ごと修理工場に送る場合が多いので非常に簡単です。
オプション保証がつけられる
延長保証のようなオプション保証が選べるところが多いのもBTOの強みです。ショップや製品によりますが、大体3年保証で1万円未満のところが多いので、金額的にもそれほど大きくはありません。
パーツには故障時期というものがあり、統計的に下記のように分けることができます。
- 個体差や設計ミスが原因で起こる故障が1年以内
- 耐久性不足や使用環境が原因の故障が2~3年以内
- それ以後は純粋な寿命や劣化による故障
2の時期を乗り越えたパーツというのは、耐久性・使用環境ともに問題がない場合が多いので、非常に長持ちすることが多いのです。
なので、3年の延長保証というのは単純に1年保証の3倍以上の安心があります。これを選択できるBTOは長くPCを使いたい人にとってはかなりオススメなサービスです。
いびつな構成になりにくい
初心者が自作にチャレンジするときにありがちな失敗が、パーツのバランスが悪くなることです。ネットで情報を知らべてみても、「電源はケチるな」「CPUはPCの心臓部」「グラフィックボードに金をかけろ」など、あつまる情報も断片的で、どこにコストをかければちょうどいいPCができるのかがわかりにくいのが現状です。
知識と経験が貯まってくれば自然とわかるようなことも、初心者のうちは迷ってしまったり、過剰に心配しすぎたりしてしまうものです。BTOでは経験豊富なショップがパーツの組み合わせを提案しているだけあって、いびつな構成にはなりにくいので初心者の方にも安心です。
BTOのデメリット
特化したPCにできない
自分の用途に完ぺきにマッチした構成やコストバランスにすることは、決められた組み合わせから選択するBTOでは難しいです。
ただ、最近ではオプションパーツの選択で、グラフィックボードのメーカーや種類、SSD・HDDの容量や回転数、CPUクーラーの種類など多彩な選択肢を用意しているショップが増えています。なので、100点とはいかなくても90点のPCを楽に手に入れることはできます。
パーツメーカーなどに制約がある
上の項でオプションでメーカーを選ぶこともできると書きましたが、やはり選択肢に限りはあります。「このメーカーじゃないと嫌」「この容量と性能の組み合わせがベスト」といったこだわりのある方にはオススメできません。
将来自作する時に、パーツが流用しづらい
「PCにも詳しくなってきたし、2台目は自作しようかな」といったときには1台目のPCからパーツの流用をする場合もあります。
特に電源やケース、SSD、HDDといったパーツは流用しやすい部分です。自作の場合は流用を見越して、あえて高価で高耐久なパーツで組むといったテクニックもありますが、BTOの場合はそれがしにくくなります。
ただ、先ほども書いた通り、BTOでもある程度はオプションで選択できるようになってきているので、よほどのこだわりがない限りは問題ないと思います。
まとめ
初心者の1台目にはBTOがオススメです。
趣味の鉄則と同じで、初心者のうちはトラブルが起きやすく、手間と無駄な費用がかかります。それに対処していくうちに上級者になっていくのも悪くありませんが、「さっさとゲームがやりたいんだけど…」というのが本音だと思います。
流用では不利になりますが、拡張性そのものはBTOも自作も基本的に変わりません。自作PCを何台も作ってきた私のPCにも、いまだにBTO時に買った製品が組み込まれています。また、BTOのPCはさすがメーカーや慣れたお店の人が作っているだけあって、ケーブル内の取り回しがとても上手にしてあります。これを参考に勉強することも一つの手です。
1台目は、オールインワンで分かりやすく、サポートの手厚いBTOを1台目に選択するのがオススメです。
自作PCのメリット
上級者にとっては価格が安い
セール品や型落ち品を上手く組み合わせることで、価格を抑えることができます。
特に電源やケースはそれほどすぐに進化するジャンルではないので、1年や2年前程度の製品なら問題ない場合が多いです。新製品が出たタイミングで旧製品を上手く買うことで、かなりお買い得なPCを組むことができます。
2台目以降なら、パーツの流用ができる
パーツの流用がしやすいのも自作のメリットです。
電源を例にとると、有名メーカーのCORSAIR社の電源ユニットは10年もの長期保証を謳っています。高価ですが一度購入すれば、2台目、3台目に流用できるので、結果安く高品質な製品を使うこともできます。
ゲームには物足りなくなったPCもサブPCとして復活できる
CPUやマザー、グラフィックボードといった進化の早い分野のパーツは、寿命がくる前に性能の問題でお役御免になることも少なくありません。そんな時は、流用できるパーツだけを次のメインマシンに移植し、代わりに安いパーツを買い足して上記のパーツと組み合わせてサブPCを作るのも手です。
サブPCは動画配信やテレビ録画、ホームサーバーやAV機器といったゲームに比べて性能を必要としない用途に活用するのがオススメです。サブPCにこれらの作業を任せることでメインPCの負荷を減らし、ゲームに集中させることでメインPCのスペックを最大限生かすこともできます。
自分の好みのブランドで構成できる
PCに慣れてくると気になるブランドが出来てくる方もいるのではないでしょうか?「このブランドのCPUクーラーは静かで冷える。ここのマザーはOC耐性が高い。」など分かってくるようになります。
評判が高かったり、お気に入りのブランドの商品で揃えることができるのも自作の楽しさです。BTOでもある程度はオプションで選択できますが、自作なら全て自分好みにカスタマイズできます。
とがったバランスで作れる
自分専用とも言えるとがった構成のPCを作れるのも大きなメリットです。
- 古いSSDをRAIDで組んでM.2SSDに対抗するスペックを引き出す。
- 超小型のハイエンドゲーミングPCを作る。
といったことも、自作なら可能です。
PCに詳しくなる
自作に必要なのは手先の器用さではなく、情報をよく調べる事です。
CPUは何コアがいいのか?ハイパースレッディングはゲームに影響するのか?何Wの電源が必要なのか?どのメーカーがいいのか?等、1台組むまででも調べることは色々あります。
オススメの構成などを見てそっくりそのまま同じものを選ぶのも手ですが、トラブルの際には自分で原因を特定するためにネットや書籍を色々と調べるしかありません。そういった経験によって、気が付けばかなりPCに詳しくなれるはずです。
自作PCのデメリット
最後に、自作PCのデメリットをお伝えしたいと思います。
とにかく面倒
注文は全てパーツ単位で選ばないといけないため、買い物が面倒です。このパーツはここで買って、グラボはあっちで買って…いざ揃ったら「あ、ケーブルを一本買うのを忘れてた!」なんてこともありがちです。
また、単純に組むのも面倒です。パーツ同士をケーブルでつないだり、電源をつなげたりしなければいけません。どこに何を挿せばいいのか、最初のうちは戸惑う可能性があります。PC内のケーブルも、うまく取り回しができず、スパゲッティー状態になることもあります。
さらに、価格の比較も比較対象が多すぎて面倒です。
総じて面倒です。
でも、「趣味のものは1つ1つ調べて購入するのが楽しい。」「プラモデルが好き。」というような方にとってはメリットでもあります。
初心者にとっては安くない
どんな趣味でも初心者の買い物には失敗がつきものですよね。
私も冷却能力を考慮せずに購入したグラフィックボードのせいで、ドライヤーのような音とともにゲームをするのが耐えられなくなりすぐに買いなおす羽目になったり逆に過剰に心配しすぎて容量の大きすぎる電源を購入したりと、色々と無駄な買い物をしました。
初心者の方で、無駄なお金は使わずにゲーミングPCが欲しいという方には、BTOの方が初期費用を抑えやすいと思います。
トラブルの際、自己解決が必要
自作PCのトラブル解決には自力での原因特定が不可欠です。原因がグラフィックボード、メモリ、CPU、電源、マザー、ストレージのどこにあるのか?場合によってはUSB接続機器が原因になることもあります。
自作PCの保証はパーツ単位なので、どのパーツに原因があるのかを自分で特定できなければ、保証を受けられません。トラブルの際にはそれなりに手間がかかる可能性があることは覚悟する必要があります。
いびつなPCになることも
これも初心者の方によくある事です。
「ゲームにはグラフィックボードが重要!」という情報を見て、貧弱なCPUに過剰にハイスペックなグラフィックボードを搭載した、もったいないPCを組んでりまったり、省電力な構成なのに、大容量電源を搭載してしまったり…いびつなPCを作ってしまう可能性もあります。
みんな多かれ少なかれそういった失敗を経験していくことで、上級者になっていきます。「ハードとしてのPCにそこまで趣味としてのめりこむ気はない。」「ゲームの方に集中したい。」といった方には自作PCはあまりオススメできません。