2017年末あたりからそろそろと噂されていた新しいIntelのプロセッサーがついに発表されました。AMDのGPU「Radeon RX Vega M」をCPUに統合した「8th Gen Intel Core Processors with Radeon RX Vega M Graphics」です。
ひとつのパッケージにCPUとGPUとHBM2を統合
見た目は昔のPentiumやAthlonにあったスロットインタイプのCPUのように横長な形状をしています。一つのパッケージにCPUとGPU、そしてHBM2の3つのチップが配置されているのがわかります。CPU側は第8世代のCoreプロセッサーが搭載されています。Kabylake世代と同様4コア8スレッドが基本となっており、メモリはDDR4-2400のデュアルチャネルに対応しています。CPUとしてはいたって普通のスペックですが、大きな違いはここにGPUとHBM2が一緒にくっついてくる点です。
GPUはAMD RadeonのRX Vega Mというプロセッサーが搭載されています。上位モデルのGHと下位モデルのGLが用意されており、演算ユニット数がそれぞれ24基と20基になっています。GPU専用の高帯域キャッシュであるHBM2の容量は、上位下位関係なく4GBで統一されていますが、帯域幅が上位が204.8GB/s、下位が179.2GB/sと若干の差があります。
今回発表されたプロセッサー一覧
今回発表されたのは全部で5モデルです。
Core i7-8890G
- コア数 : 4コア
- スレッド数 : 8スレッド
- CPU定格クロック : 3.10GHz
- CPUブーストクロック : 4.20GHz
- クロックロック : 無し
- キャッシュ : 8MB
- 対応メモリ : DDR4-2400
- オンボードグラフィックス : HD Graphics 630
- GPUチップ : Radeon RX Vega M GH Graphics
- 演算ユニット : 24基
- ストリームプロセッサー : 1536基
- GPU定格クロック : 1,063MHz
- GPUブーストクロック : 1190MHz
- メモリ帯域 : 204.8GB/s
- 高帯域キャッシュ : HBM2 4GB
- TDP : 100W
Core i7-8709G
- コア数 : 4コア
- スレッド数 : 8スレッド
- CPU定格クロック : 3.10GHz
- CPUブーストクロック : 4.10GHz
- クロックロック : 有り
- キャッシュ : 8MB
- 対応メモリ : DDR4-2400
- オンボードグラフィックス : HD Graphics 630
- GPUチップ : Radeon RX Vega M GH Graphics
- 演算ユニット : 24基
- ストリームプロセッサー : 1536基
- GPU定格クロック : 1,063MHz
- GPUブーストクロック : 1190MHz
- メモリ帯域 : 204.8GB/s
- 高帯域キャッシュ : HBM2 4GB
- TDP : 100W
Core i7-8706G
- コア数 : 4コア
- スレッド数 : 8スレッド
- CPU定格クロック : 3.10GHz
- CPUブーストクロック : 4.10GHz
- クロックロック : 有り
- キャッシュ : 8MB
- 対応メモリ : DDR4-2400
- オンボードグラフィックス : HD Graphics 630
- GPUチップ : Radeon RX Vega M GL Graphics
- 演算ユニット : 20基
- ストリームプロセッサー : 1280基
- GPU定格クロック : 931MHz
- GPUブーストクロック : 1011MHz
- メモリ帯域 : 179.2GB/s
- 高帯域キャッシュ : HBM2 4GB
- TDP : 65W
Core i7-8705G
- コア数 : 4コア
- スレッド数 : 8スレッド
- CPU定格クロック : 3.10GHz
- CPUブーストクロック : 4.10GHz
- クロックロック : 有り
- キャッシュ : 8MB
- 対応メモリ : DDR4-2400
- オンボードグラフィックス : HD Graphics 630
- GPUチップ : Radeon RX Vega M GL Graphics
- 演算ユニット : 20基
- ストリームプロセッサー : 1280基
- GPU定格クロック : 931MHz
- GPUブーストクロック : 1011MHz
- メモリ帯域 : 179.2GB/s
- 高帯域キャッシュ : HBM2 4GB
- TDP : 65W
Core i5-8305G
- コア数 : 4コア
- スレッド数 : 8スレッド
- CPU定格クロック : 2.80GHz
- CPUブーストクロック : 3.80GHz
- クロックロック : 有り
- キャッシュ : 6MB
- 対応メモリ : DDR4-2400
- オンボードグラフィックス : HD Graphics 630
- GPUチップ : Radeon RX Vega M GL Graphics
- 演算ユニット : 20基
- ストリームプロセッサー : 1280基
- GPU定格クロック : 931MHz
- GPUブーストクロック : 1011MHz
- メモリ帯域 : 179.2GB/s
- 高帯域キャッシュ : HBM2 4GB
- TDP : 65W
この新たなプロセッサーのターゲットと使い道は?
ではわざわざCPUとGPU、HBM2をオールインワンパッケージにしたことによるメリットは何でしょうか。Intelは省スペース性、そしてより高い電力消費量対性能比としています。
これまで1つのマザーボード上に別々にCPUとGPUとGDDR5メモリを配置し実装してきました。Intelはこれを1つの統合パッケージにすることで1900平方ミリメートルもスペースを削減できるとしています。これはノートパソコンのように限られたスペースで少しでも多くの性能と機能を実装しなければならない場合には非常に有効でしょう。
電力消費量対性能比に関しても、これまでCPUとGPUで別々に管理されていたものが統合され、IntelのDynamic Tuningテクノロジー配下に置くことで、ゲームやマルチタスク処理などの異なる負荷に対して、より最適な電力配分を行うことができるとのことです。
ゲーマー諸氏にとって一番気になるのはグラフィック性能でしょう。発表ではRadeon RX Vega M GXでは、GeForce GTX 1060を搭載したゲーミングノートパソコン相当、もしくはそれを少し上回る程度のスペックになるようです。Radeon RX Vega M GLにおいてもGeForce GTX1050を搭載したゲーミングノートパソコンを超える程度のスペックになるとのことです。いずれにしても1920×1080のフルHD解像度で3Dゲームタイトルが十分に動かせるだけの性能は持っているようですね。
このプロセッサーがノートパソコンに搭載されれば、これまでの分厚く重く取り回しのしづらいゲーミングノートパソコンの常識が覆るかもしれませんね。