CPUといえば、インテルならCoreやPentiumやCeleron、AMDならRyzenやPhenomといったようにパッとでてくるシリーズ名があります。これらは一般のパソコン向けのCPUで、サーバーやワークステーションではまた違うCPUが使われているのです。ここではパソコン用のCPUと、サーバー用のCPUの違いについて解説したいと思います。
パソコン用CPUとサーバー用CPUの性能の違い
まずパソコンとサーバーで違うことは、動作に対する信頼性です。パソコンは一般家庭から企業のユーザーまで広く使われますが、基本的には1ユーザーのみの処理を行います。それに対してサーバーは複数のユーザーからのアクセスを処理しながらたくさんの仕事を同時に行います。その分処理も複雑になりますし、データの祖語が出ないように確実にデータを処理しきる必要があります。そのため動作における信頼性が大きく違ってくるのです。
もちろん数や規模の大きな処理を行うためには、高性能な処理能力を必要とします。時には1つのCPUだけでは処理が追い付かないこともあります。サーバー用のCPUではそういった場合にも対応できるように、マルチCPUといって1つのサーバーに対して複数のCPUを搭載することができるようになっています。パソコンは1つのCPUしか搭載できませんので、そこも大きな違いといえるでしょう。複数のCPUを搭載することで、100を超えるコア数とスレッド数を持つマシンも可能です。
サーバー用CPUでパソコンも作れる?
性能が良いなら、サーバー用CPUでパソコンを作ればウルトラスペックのパソコンが作れるのではないか?そう考えるのはよくあることです。しかしサーバー用CPUは業務用途を前提に販売されているため、価格が非常に高いのです。パソコン向けのCPUはインテルとAMDの競合関係もありますし、値段が高くては消費者は買いません。そのため価格競争が熾烈に行われていますが、サーバー向けのCPUはそのほとんどがインテルのXeonプロセッサーが占めています。そのため価格競争をする必要もなく、企業もCPUの値段ひとつにどうこう言うこともありません。そのためサーバー用CPUはパソコン用CPUに比べて非常に高価なのです。
サーバー用CPUにはECC対応のメモリが必要という点も、パソコンとして使うにはネックになります。ECCとはエラーチェック機能付きのメモリで、これもサーバー用メモリとしてサーバー用CPUと合わせて当たり前のように使われています。このECCメモリが一般のメモリよりも高価で、パーツショップなどでは取り扱いも少ないため入手しづらくなっています。サーバー用CPUに対応したマザーボード、サーバー用CPU、ECC対応のメモリ、この3つをそろえる必要がありパソコン用にこれらを用意するのはハードルが高いでしょう。
そもそもCPUを変えても違いを体感できない
パソコン用とサーバー用のCPUの違いを少しは理解していただけたでしょうか。業務用途の視点と一般用途の視点から見た時では必要とするものが違うのです。ある程度の処理能力をできるだけ安価に必要とする一般層、高価でも可能な限り高い処理能力と安定性そして信頼性を必要とする企業、それぞれの用途に合わせてあえて区別されているのです。
サーバーをパソコンとして利用することももちろん可能ですが、ブラウザでウェブサイトを閲覧したり、動画を再生したり、ゲームをしたりといった処理ではパソコン用もサーバー用も違いはないのです。そういった用途にはパソコン用のCPUで十分性能が事足りているため、サーバー用のCPUを使用したところで処理速度は変わりません。もし違いが出るとすればそれはベンチマークを行ったときくらいでしょう。
このようにゲームや通常のパソコン用にサーバー用のパーツは一切必要ありませんし、使いこなすことはほぼ不可能です。もしサーバー用のCPUを検討していたのであれば、その予算をすべてより高性能なグラフィックカードに投資することでもっと快適なパソコンを手に入れることができるでしょう。