インテルのCPUの一部には、ターボブーストテクノロジーと呼ばれる機能が搭載されています。インテルのターボブーストテクノロジーがいったい何をしてくれるものかを解説したいと思います。
インテルターボブーストテクノロジー
自作パソコンユーザーにとって、オーバークロックはコストをかけずにCPUのパフォーマンスを高めることのできる魅力的な手段です。しかしオーバークロックにはCPUが使い物にならなくなるリスクをはらんでいました。だれも何万円もするCPUをただの文鎮にはしたくないでしょう。
ターボブーストでは、これまでのオーバークロックによって自身が破壊されないようCPU自体が負荷と温度を管理し、クロック数を調節することが可能になりました。ターボブーストは負荷の少ない通常の状態では、あえてクロック数を抑えて消費電力を抑えたり、発熱を抑えたりします。パフォーマンスが必要な場合には、温度やCPUの使用率を確認しながら段階的にクロック数を自動で上げていくのです。
現在のCPUはコアが4つ以上のマルチコアプロセッサーです。コアによって割り当てられるプロセスが違うため、負荷も違います。CPU全体としての性能の余裕がある場合、大きな負荷のかかっているコアにパワーを集中させて動作クロック数をアップすることができます。「CPUで重要なのはシングル性能orマルチ性能?」にも関わってくる話ですね。
ターボブーストとオーバークロックの違い
インテルのターボブーストテクノロジーは、昔のようなオーバークロックを安全な範囲で、しかもよりインテリジェントな機能としてCPUに搭載しました。正確にはターボブーストとオーバークロックは似て非なるものです。ターボブーストはあくまでメーカーが定めたCPUの限界値を超えることはありません。オーバークロックはメーカーが定めたCPUの限界値を超えて動作させることを目的としています。
オーバークロックはメーカーの想定外の手段であり、万が一故障した場合のメーカー保証はすべて受けることができません。しかしターボブーストテクノロジーはインテルのCPUとしての正式な機能ですので、保証をしっかりうけることができます。
他にもオーバークロックは常に設定した限界を超えたクロック数でCPUを動作させ続けることになります。負荷がまったくない状態でもCPUは限界以上の力で足踏みをしているようなものです。ターボブーストは負荷や温度などさまざまな状況を判断してクロック数を上げ下げします。そのためCPUの寿命もターボブーストとオーバークロックでは大きな差があるでしょう。
ターボブーストテクノロジーが有効なCPU
インテルターボブーストテクノロジーのバージョン
- Intel Turbo Boost Technology
- Intel Turbo Boost Technology 2.0
- Intel Turbo Boost Max Technology 3.0
現在のインテルターボブーストテクノロジーのバージョンはIntel Turbo Boost Max Technology 3.0と呼ばれるものです。ターボブーストはインテルの機能ですのでインテルCPUのみ搭載されています。またインテルのすべてのCPUに搭載されているわけではありません。Intel CoreファミリーではCore i5以上のメインストリームより上のグレードのCPUにのみ搭載された機能です。他にもサーバー向けのCPUであるインテルXeonプロセッサーにも搭載されています。